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「しかたがない穴」[ 芝居 ]

AGAPEstore #8「しかたがない穴」

観劇日:3月6日(土) 劇場:紀伊国屋サザンシアター
作:倉持裕(ペンギンプルペイルパイルズ) 演出:G2
出演:松尾貴史、秋本奈緒美、山内圭哉、松永怜子、小林高鹿

AGAPE storeG2と松尾貴史による演劇ユニット。

陥没した巨大な穴の調査のために派遣された日本人の学者と
現地のガルガル人の学者たち……はなぜか忘れ物を取りに帰ってしまい、
残されたのは医者、取材のために訪れたライターとカメラマン、ガルガル語の通訳、
そして意識不明のガルガル人学者。
閉ざされた空間で、少しずつ少しずつ何かがずれていく。
それを微妙に感じつつもそのずれを補正できずに、次第に崩れていく人々……。

怖い……。
なんともいえなくひしひしと、怖い。
劇場全体に冷たい空気が漂っているような、
げらげら笑っていても肩のあたりが薄ら寒いような、そんな印象。
そして、なんだかよくわからない、ええっ!?と思わせてあっさり終わる結末も、
おもしろくて良かった。わからなかったけど。

このユニットを観るのは4回目。
いつもいつも松尾貴史の達者な声技に大爆笑していたのだが、
今回も彼にはだいぶ笑わせられたが、
それだけでなく、彼の非常にシリアスな面に触れられて良かった。
彼の感じるずれとか恐怖とか、そこから生じる狂気とかが、
観ている側にもじわじわじわじわと、いやーな感じに伝わってくる。
うーん。こんな松尾さんもいいなあ。